3つの、小さなインスタレーション

野村和弘

2022年1月22日(土)- 2月19日(土) 12:00 - 19:00

アルマスギャラリーでは野村和弘の個展、「3つの、小さなインスタレーション」を開催します。

彫刻や絵画、映像など多岐にわたる表現を行って来た野村和弘の新作による個展となります。
これまで、工業的につくられた既製品や、だれかに使われた後に不要とされた服飾品、
それらのスケールを拡大して制作された彫刻などを発表してきました。
もののもつ用途や目的といった文脈から離れて提示されたそれらの製品は、
どこか詩的な憂いとユーモアを感じさせるものとなっています。
六本木クロッシング2016と、東京都現代美術館での「あそびのじかん展」で展示された「笑う祭壇」は、
無数に集められた古ボタンを台座めがけて投げて乗せる、というゲーム性を含んだものでした。
そういった用途の変転も含みつつも、見慣れたものが違う様子で置いてあったときの鑑賞者との、
遊び心をふくんだ交感の装置といった趣もある展示となることと思います。

______________________________________________________________________

3つの、小さなインスタレーション

前回の自由が丘での個展の時(2021年10月)、「もともとに私の作品は、ちゃんとした?、正式な?、ものではなく、落書き、あるいは子供の遊び近きものと言えるでしょう。『笑う祭壇』では、的をめがけてボタンを投げたのです。今回の『サライの落書き』なら、小石を並べて地面に絵を描くことに似ています。ということで言えば、そこには、ずっと遡った、アルタミラの壁画などとの、より直接的な親近性が見つけられるのではないでしょうか?」というように話しましたが、さらに今回は、ほとんどが既製品だけで作られています。しかも、最近では、それをネット上に探すことも少なくないのです(届いたものが、思ったようなものではなく、落胆することがあったとしてもーもちろんその場合、買い直されることは否めません、その裏切りが、またひとつのファクターともなりうるのでしょう。それは、思ったものではない、しかしむしろ思ったものに近い)。
そんなものから、「アルタミラの壁画などとの、親近性が見つけられる」とすれば、それは面白いことではないでしょうか?かなり『笑』える?「ちゃんとした、正式な」作品は、確かに安心です。コレクションするとしても、コンビニエンスに違いありません。そうではなく(なお、そういうものでも、ここでの問題設定が共有されることはありうるのですが)、また投機的に(これも、ゾクゾクすることに変わりありませんが)でもなく、目にする作品に、抗しがたい魅力が感じられたのだとすれば?そこには、何が存在しているのでしょう?別種の言語?本当に、アルタミラの壁画などとの親近性が?人間は、変わっていないのでしょうか?それとも、変わったのでしょうか?アートすることの、ルーツとは?
小さなインスタレーションは、楽しみも小さい?
______________________________________________________________________

日時:2022年1月22日(土)- 2月19日(土)
金/土/日のみオープンとなります 
オープニングレセプションは行いません。
ご来場の際はマスクの着用および入り口での消毒液のご使用をお願いします。

野村和弘 Kazuhiro Nomura__________________________________________________
1958年 高知県生まれ。
1979年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻入学。
1988年 同大学美術学部油画後期博士課程退学後、ドイツ学術交流会(DAAD)奨学生として渡独。
1990年 デュッセルドルフ美術アカデミーにて学位(Meisterschueler)取得。
1993年 帰国、神奈川県在住。

【主な展覧会(2010年以降、 *は個展)】
2021年 「サライの落書き」*gallery21yo-j (東京)
2020年 「Angels in Korea」*×ARThomeroom (東京)
2019年 「美しい直線ー反語的タイトル」*gallery21yo-j (東京)、「Road to Eva」HARMAS GALLERY (東京)、「あそびのじかん」東京都現代美術館 (東京)
2018年 「ドット・ペインティング」*HARMAS GALLERY (東京)、「彼女の指先と神話」HARMAS GALLERY (東京)
2017年 「片目」*Galleria Finarte (愛知)、「女性靴とボタン」*gallery21yo-j (東京)、「イヤリングと葡萄」*void+ (東京)
2016年 「六本木クロッシング2016展 僕の身体、あなたの声」森美術館 (東京)
2015年 「笑う祭壇2 出版記念」*+「赤のコルパー」TIME&STYLE MIDTOWN (東京)、「版画コレクションのあゆみ3 コピー・アートの時代」Fuji Xerox Art space (神奈川)、「春を待ちながら やがて色づく風景をもとめて」十和田市現代美術館 (青森)
2014年 「笑う祭壇」*gallery21yo-j (東京)、「0.5 出版記念」*+「黒の拡大」*TIME&STYLE MIDTOWN (東京)
2013年 「LVRFI 3」カスヤの森現代美術館 (神奈川)+TIME&STYLE MIDTOWN (東京)、
2012年 「キュレーターからのメッセージ2012 現代美術のいま」兵庫県立美術館 (兵庫)、「1、2、3(Little Girl Popular Edition)出版記念」* void+ (東京)
2011年 「simple things」名古屋市民ギャラリー矢田 (愛知)
2010年 「 野村和弘展」*カスヤの森現代美術館 (神奈川)、「野村和弘/東島毅みることをかんがえる」いわき市立美術館 (福島)、「City Beats+Live Explosions」Bank ART studio NYK (神奈川)

【パブリックコレクション】
千葉市美術館、富士ゼロックス、いわき市立美術館、3331アーツ千代田、東京都現代美術館