アルマスGALLERYの企画展としまして、
佐藤イチダイ『A scene from invisibility』を開催いたします。
佐藤イチダイは1983年生まれ、2008年に多摩美術大学大学院を修了後、2009年には
リキテックスビエンナーレで椹木野衣賞を、はるひ絵画トリエンナーレでは奨励賞を
受賞し個展を開催するなど、活躍の場を広げている作家です。
佐藤の絵画では、他者との対話の不可能性や外の世界に対する不明瞭な不安、
常に内外に揺らぐ自意識を題材として、シュルレアリスム的な情景が描かれています。
顔が湿気を帯びた洞窟や流動する液体、星の点在する暗闇と化したポートレイト。
ぬめるようなタッチとダークな色調で描かれる波や山といった風景と、
その間を行き先も定まらぬまま漂流する人物たち。
人知れぬ地中で脈動する、不気味ないきもののうごめく姿。
一貫して不穏なイメージを纏う作品群にしばしば登場する瞬く星座は、
一抹の希望であるかのように描かれながらも
それぞれの行動を縛り操る占星術としての呪縛という側面をも現しているようです。
本展では、近年使用してきたアクリル絵具から油絵の具に切り替え、
油彩画とドローイングの新作を発表いたします。
是非この機会に、佐藤の描く異質な世界観をご堪能いただければ幸いです。
[アーティストステートメント] -繋げるほど曖昧になっていく もの –
普段目にしている光景は私たちの生活と直結しているものばかりではありません。
絶え間なくあふれてくる情報を自由に選択し、
現在いる地点から遠く離れた場所の出来事を知る事が出来ます。
しかし、それらが正確なものとは限りません。
誰もが情報を提供できる場では様々な思惑や立場によって異なる意見、
または悪戯のような嘘、噂や非現実的な情報も介入してきます。
そしてそれらの中から正確なものを選別するのは難しいでしょう。
もしかすると、初めから正確なものなど無いのかもしれません。
私たちは多くの情報を得る反面、多くの不明性も内包しているように思えます。
私は不明なものに対し恐怖を感じます。
それは日常の壁を越えたところにあるもの。
または、実際いるかどうかわからないが目にみえないもののことです。
なぜなら認識すること(した経験)がないからだと思います。
今回の展示では、幾つかの情報を繋げひとつの場面を描きます。
描かれたものはイメージを繋げるほど元から離れていき、不明さを含みます。
しかし、不明さを増しながらも画面は可視化されていきます。
ただし、それはぼんやりと曖昧にすることで恐怖から離れるためではありません。
情報からあてがう(認識できるもので組み立てる)ことで、それをのり越えられるのではと考えます。
[プロフィール]
1983年 群馬県高崎市生まれ
2006年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻 卒業
2008年 多摩美術大学大学院美術研究科 修了
[個展]
2009年 犬と連想(フタバ画廊)
星に願いを(清須市はるひ美術館)
[グループ展]
2009年 2009 FUTABA FRESH ARTIST’S(フタバ画廊)
第12回リキテックス・ビエンナーレ(スパイラルガーデン)
第6回はるひ絵画トリエンナーレ(はるひ美術館)
中之条ビエンナーレ2009(伊参スタジオ)
佐藤イチダイ・山内賢二 展(SAN-AI GALLERY)
2010年 ワンダーシード2010(ワンダーサイト渋谷)
Drawing -context- (SAN-AI GALLERY)
[受賞]
第12回リキテックス・ビエンナーレ 椹木野衣賞
第6回はるひ絵画トリエンナーレ 奨励賞
[パブリックコレクション]
清須市はるひ美術館
日時:2011年1月22日(土)-2月5日(土)12:00-19:00 月曜休廊
オープニングパーティ 1月22日(土)17:00-19:00