析出

今野健太

2020年9月26日(土) - 10月31日(土)

アルマスギャラリーでは9月26日から10月31日まで、
石彫を軸とする制作を行っている今野健太の個展を開催いたします。

今野健太は東京芸術大学大学院博士後期課程美術専攻を修了後、
東京近郊で制作を行っています。

一貫して石彫による人体彫刻によって、自分自身を把握することさえ出来ない
人間の不確かさや不安をテーマに、複数の人物が変形し融合した立像や、
大人とも子供ともとれるようなデフォルメされた人物たちを制作してきました。

今展では、前回の個展時にまとまって展示された『テノヒラ』、
異素材による編み物のマスクと首像の組み合わせによる『アムカオ』、
また今野自身の制作において重要な位置を占める首像群である
『揮発する肖像』らの新作を展示します。

大型作品の長期にわたる制作期間の中で発生する石の破片を使用し、
ドローイング代わりに即興的に完成させるシリーズとしてはじまった『テノヒラ』。
割れた石の断面と対照的に有機的な作家の掌のディテールと、作り手の不明な時代の
彫刻や石器などへの観察による原始的なフォルムが同居した掌サイズの作品群です。

『アムカオ』は、テノヒラで養われた造形の自由さと、これまで避けてきた異素材の
組み合わせによる意欲的な首像シリーズです。
古布やペットボトルや藁、アトリエ周辺に自生する植物の繊維などを使い、
草履を編む技術を援用して仮面をつくり、首像と組み合わせています。
永続的な素材としての石と、おそらく石より短い耐用年数の素材を組み合わせて
首像をつくることにより、それぞれ素材固有の時間軸を取り込んだ作品群となっています。

『揮発する肖像』は今野の制作キャリアの初期から作られてきた重要な首像シリーズです。
造形的な的確さに忍び込むようなディフォルメと違和感の挿入により、
不安定にうつろい、明滅するように変化する人間の感情のあやうさを表現してゆく
作品となっています。

以前のものになりますが、今野健太の制作の根幹にふれた充実したインタビューが
ありますので、ぜひご覧ください。
「不毛なことの意味をかすかに信じる」――彫刻家・今野健太が彫り出す存在
今野健太×荒井裕樹





会期:2020年9月26日(土) – 10月31日(土) 12:00 – 19:00
金土日のみオープン
オープニングレセプションは行いません。
ご来場の際はマスクの着用および入り口での消毒液のご使用をお願いします。





またテノヒラシリーズの1~100番の作品をまとめた作品集を刊行します。
会場にて見本を設置しますので、ぜひお手にとってお確かめください。

『TENOHIRA No.001-100』

著者:今野健太

執筆:カニエ・ナハ(詩人)
デザイン:八木宏基

撮影:今野健太
言語:日本語・英語
仕様:A6/ソフトカバー/110P/カラー
部数:300部 

発行元:HARMAS GALLERY
定価:2,300円+税


特装版:30部限定
内容:作品集、作家によるオリジナルドローイング1枚、特装箱、石の欠片
価格:20,000円+税

tenohira_H1 tenohira_p11-12





今野健太 Kenta Konno_______________________________________

_____________



1980 東京生まれ

2009 東京芸術大学大学院博士後期課程美術専攻 修了

【個展】
2019 「 掌の彫刻 」 HARMAS GALLERY / 東京
2017 「 巨岩と花びらの狭間で 」 日本橋髙島屋美術画廊X / 東京
2015 「 ぱられる人 」 EARTH+GALLERY / 東京
2014  彫刻//新時代シリーズvol.1 今野健太展 「 あいとなるものもの 」
    日本橋髙島屋美術画廊X / 東京
2014 「 にじり出す背 -Back out gradually- 」 HARMAS GALLERY / 東京
2012 「 ユスブル 」 現代HEIGHTSgalleryDEN / 東京
2007 「 曖昧な決断、はっきりとした迷い 」 現代HEIGHTSgalleryDEN / 東京

【グループ展】
2018 「 刻まれた時間ーもの語る存在 」 東京芸術大学大学美術館 / 東京
2016 「 彫刻 -気概と意外 」 東京芸術大学大学美術館陳列館 / 東京
2016 「 sympathy 」 名古屋松坂屋 / 愛知
2013 「 Melting Points 」 HARMAS GALLERY / 東京
2012 「 行為の触覚 反復の思考 」 上野の森美術館 / 東京
2010  21C//カタチの今 vol.2 「 -思考する人体・語りかける彫刻- 髙畑一彰・今野健太 二人展 」
    新宿髙島屋 / 東京
2009 「 彫刻 -労働と不意打ち 」 東京芸術大学大学美術館陳列館 / 東京
2005 「 UPRISE -彫刻における現代への視座- 」 上野の森美術館EXTRA / 東京