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COMING WAVER

中谷日出子

2011年10月1日(土)-10月16日(日)12:00-19:00 月曜休廊

アルマスGALLERYによる企画展、中谷日出子『COMING WAVER』を
10月1日(土)から10月16日(日)まで開催いたします。

中谷の描く作品では、主に風景のようなものが描かれます。

なるべく何も考えないように心の赴くままに描きたい、
と作家が言うように、なにを描いたかという事より
どれだけ無心で描けるかというトライアルのもとに、
風景のようなものが描かれていきます。

空のようであり、山のようであり、森のようであり、湖のようでもある。
そういった印象をもつ色面が浮遊感のある間で配置され、
風景のような画面を形作りはするのですが、
層突に出現するラインや色面が加わって、
いわば風景未満といえる状態で鑑賞者に提示されます。

作家本人の意識/無意識を横断する絵筆の動き、
色彩を目で追ううちに、感じ方も解釈も自由な遊び場が
目の前にひらけているような愉快さに出会えることと思います。
また、そこでは作家自身も鑑賞者と同様に、
身の内から現れてきた絵画を新鮮に眺めているのです。

今回の個展では、ドローイングとキャンバスの新作で構成され、
作家の目指す表現が一層感じ取れる展示になると思います。

ぜひお時間お繰り合わせの上ご覧ください!

日時:2011年10月1日(土)-10月16日(日)12:00-19:00 月曜休廊
   オープニングパーティ 10月1日(土)18:00-20:00
場所:アルマスGALLERY 

中谷日出子 Hideko NAKATANI ——————————————————–

1974 石川県生まれ
1997 金沢美術工芸大学卒業

[個展]
2010 「go in peace.」 (SAKuRA GALLERY・東京)
2009 「何か いいこ とが 起こ り そう」 (thorn tree gallery・東京)
2008 「手も毛」 (現代HEIGHTS・東京)
「ゆりかごの猫ジャラシー」 (CAT’S CRADLE・東京)
中谷日出子展 (大和ハウジング・石川)
2007 「飛んで行った帽子からの報告」 (Gallery Conceal・東京)
2006 「コンタクトリ」 (現代HEIGHTS・東京)

[グループ展]
2009  「A trace of 10 years in GalleryDen」 (現代HEIGHTS・東京)
2005 大、里帰り展 (金沢21世紀美術館市民ギャラリー・石川)
2004 遺伝子造形情動映像デザイン展 (インタースペースOJI・東京)
600MILES JAPAN WEEK 2004 IN CARDIFF(カーディフ・イギリス)

[個展のタイトル COMING WAVERについて]
 
「ゆらゆらしながらも、必ず現れる光」のようなイメージです。
題字は目をつむって書きました。

そのときには見えなくてもきっとよくなるだろうと信じるのが、
自然な命の姿なのかもと思ったから。
結局希望を選ぶしかなくなって、
命はそうやって続いてきたんだと思ったから。
でも、目を開けないとちゃんと書けてるかわかんない、
ということもわかった。目を開けていなければと思った。

[アーティストステートメント]

「できるだけなにも考えないようにして描く」ということをしています。
今年で個展をはじめて6年目になりますが、
その行為の自分の中での意味合いも、変わってきました。

「できるだけなにも考えないようにして描く」というのは、わたしにとっては、
「できるだけ自分の真実の姿を知る」というのに近いと思います。
「人間て何かしら?」、と時々ぼんやりと真剣に思うのですが、
結局自分を知るということからスタートするしかないような気がするし、
自分をよく知れば人間て何かしら、が解けるような気もして、
そのことを探求してみたいという好奇心があります。

わたしたちはいろんな想いを言葉というカタチにすることが多いと
思うのですが、それは、言葉にする前の意識や、
感情のような「言葉にならない何か」をふるいにかけるように
情報整理して、伝えられるカタチにする、把握できるように
するためのような気がします。
そして、整理されることによって、整理できなかった想いや
意識のようなものはどこかに隠されてしまいます。
けれども、そこも大切な自分の一部です。

真実を知りたいなら正直にならなくてはいけないし、
もし正直になって絵を描くなら、意識できるところから
意識できないところまで含まれているはずなのではないか、と思いました。
「できるだけなにも考えないようにして描く」というのは、
意識できていない領域を引き出して、自分をよく知って、
そのうちできるなら人間の全体を知りたい、見てみたい、
という好奇心やたのしさにつながっています。

「考える」ということによって、限定している
「自分の姿」というのがあると思います。
けれど、考えている自分以外の領域にも、自分の意識があります。
絵を描くとそれをとても実感します。
自分がどうしてこの色や形を「いい」と思うのかわからない。
でも、わからなくても確信はある、という事があります。
子どもの頃、絵を描くときはそんな感じだったんじゃないかなと思います。

わたしが描いているのは「内的な自画像」ではないかな。
と最近思います。
絵というのは、知らず知らずにそういうものが現れてしまう
不思議なツールだなと思うことがあります。
そうして、意識できていない部分の大きさを感じます。
そこはたくさんの人と知らない間に交流している領域かもしれません。
絵はそういうところがおもしろいなと思います。

一枚をほんとになにも考えないで描いたな、と思うのはいつだろうかと思います。
それをたのしみにしつつ願っています。
今のところ、83歳までは生きるつもりです。あと、46年ある!

そう思う現在。

中谷日出子