ガラスにまつわる固定観念を覆すようなインスタレーションを
展開してきた谷口嘉の、アルマスGALLERYでの2回目の個展を開催いたします。
谷口はこれまで、展示する場の壁や天井、床などの構造物に対する付属物のように
硬質でミニマルな作品を制作してきました。
去年の個展では、透明なガラス棒を磨いてフロスト状にしたものを
ギャラリーの壁と壁の間に渡し、その中心地点を直角に立てたガラス棒で
支えただけで構成されたT字型の彫刻が10対あまり展示されました。
壁に渡すために接がれたガラス棒は、なかほどで自重でしなり、たわみます。
この繊細な彫刻群の高さは、男性の背丈の少し上くらいで設定されており
その下をくぐり、些細に眺めるときに、そのしなり具合も加わって
いやがおうにも緊張感が高まります。
ガラスという素材だからこそ持ちえた張り詰めた緊張感は、
鑑賞者に忘れ得ぬ体験として刻まれることでしょう。
来年清澄白河に移転するアルマスGALLERYでの、今場所での最後の展示となります。
この空間がガラスとどう響きあうのか。
お確かめいただければ幸いです。
11月6日(日)には18:00-20:00まで作家を囲んでささやかなパーティを
催します。ぜひお越し下さい。
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ガラスとその周囲に存在する張りつめた雰囲気。無意識に息をひそめて
しまうようなその感覚は、私たちが目の前のものをガラスとして認識することで、
はじめて感じるものなのかもしれません。
気づくことで立ち現れる気配。瞬間に変化する雰囲気。
私たちがものや場所から感じとっているものとは、意識に上らずとも、絶えず
呼び起こされている経験や記憶、そういった無意識のうちのイメージによって、
私たち自身が作り出しているものでもあるのではないか。私はそう考えています。
谷口 嘉
[過去作品例]
谷口 嘉 Taniguchi Yoshimi
作家略歴————————————————————————————————
1978 横浜生まれ
2001 多摩美術大学デザイン科立体デザイン専攻クラフトデザイン専修
ガラスコース卒業
あづみ野ガラス工房勤務(〜06)
2006〜 多摩美術大学工芸学科ガラス研究室助手
[個展]
2008 谷口 嘉 展(ギャラリー現 東京・銀座)
2009 谷口 嘉 展(ギャラリー現 東京・銀座)
2010 谷口 嘉 展(アルマスGALLERY 東京・門前仲町)
[グループ展/イベント]
2002 第1回現代ガラス大賞展・富山2002(富山)
2005 あづみ野ガラス工房20周年記念展(豊科近代美術館 長野)
2006 第46回日本クラフト展(東京)
クリエーターからのプレゼント展(ギャラリー ル・ベイン 東京・六本木)
2007 八月のみたてもの(ル・ベインSHOP MITATE 東京・六本木)
2008 冬のギフト展2008「ぬくぬくな家」(ル・ベイン ギャラリーMITATE 東京・六本木)
2010 フダン_アートvol.5(RISE GALLERY 東京・目黒)
七月のみたてもの(ル・ベインSHOP MITATE 東京・六本木)
「・・・」(アキバタマビ 3331 Arts Chiyoda 東京・秋葉原)